コラム

高齢者の住まい-1

高齢者の住まい-1

この住宅の特徴は、、
高齢者の居室と水周りとの関係です。
廊下などの他の空間を経由せず、
直接トイレ、脱衣へ行くことができます。

この住宅にお住まいの方は、
まだまだ元気な80代の方です。
基本的にはすべてを自分で行うことができます。

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写真、左側の扉を開けると、
居室からトイレ、脱衣所、浴室とつながっています。
右側に見えるのは、造作のミニキッチンです。
冷蔵庫も組み込まれています。
簡単な料理ならば作ることができます。
生活空間として、ほぼ完結しています。
 
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 高齢期の住まいを考えるとき、
ともすると「高齢期」を過剰に「ケアが必要な人」と
一面的にとらえてしまいがちです。
当事者本人が「どう暮らしたいのか」という一番大切なことよりも、
「段差解消」や「手摺設置」という
ハード的手法が前面に出てしまっているのが現状です。
ハードの整備ももちろん重要ですが、
たとえば「いつまでも食事を作りたい」「掃除も自分で」という気持ちを
いかに汲みとれるか、が、生活の質の向上には欠かせません。
住まいのバリアフリーの目的である「事故やケガの予防」は、
家庭においてできるだけ長く今の生活を維持できるように、ということにあります。
ですから、今の暮らしとこれからの暮らしのイメージをしっかりと
ヒアリングする役割が大切だと考えています。
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高齢者の住まい-2

高齢者の住まい-2

この住宅も先に紹介した住宅と同じ特徴を持っています。
高齢者の居室と水周りとの関係です。

この住宅にお住まいの方は、介護を必要とする70代の方です。
住居内の移動は基本的には車椅子で、
調子の良い時は付添者がいての歩行となります

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ここえでは、高齢者居室に前室を連続させ、
そこからトイレ、洗面・脱衣を連続させました。
この前室は、大きなシンクを設け、
汚れたものを前洗いすることができるようになっています。

この居室に隣接して、居間を設けています。
そこには畳コーナーが、南側には大きなテラスが続いており、
車椅子の生活で豊かな時間を得られるような空間構成としています。
また、このテラスは、デイサービスの時の
車の乗り降りに使われるプラットフォームとなり、
外部の介護者との接点となる場所です。

 
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 高齢期の住まいでは、
介護サービスなど家族以外の人が家庭内に入ってくる可能性も増しますので、
その点の考慮も必要です(プライバシー、物や情報の管理・共有など)。
また、バリアフリー改修などの場合にも、精神的な充実のためには、
物理的解決策を提示するだけでなく、
きちんと「どう暮らしたいのか」を聞くことが大切。
その「暮らしイメージ」の実現のために
「物理的な工夫」が必要なのだということを意識しておきたいと考えています。
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2世帯住宅-1

2世帯住宅-1

 

二世帯住宅づくりの前に 

※ 一般的に言われる「二世帯住宅設計のポイント」です。

 

1.メリットとデメリットを理解する

 

メリット

・お互いの助け合い(病気のとき・子育て・防犯など)

・精神的な充実(多世代交流・安心感など)

・文化の継承(歳時記・習慣など)

 

注意が必要な点

・生活リズムの違い(子育て世代と熟年世代)

・プライバシーの確保(お互いの専用スペースの確保)

・文化、価値観の違い(食事の趣向・ライフスタイルなど)

 

二世帯同居には、助け合う安心感や豊かな世代間交流など、魅力的な要素があります。

その一方で、家族であってもお互いが尊重しあう配慮が必要となります。

特に、ライフステージ(子育て世代と熟年世代)が違うため、生活のリズムが合わない場合が多くあります。

それまでに出来上がってきた生活リズムを崩すことはなかなか出来ません。

どちらか一方があわせようとすると、お互いのストレスとなりかねません。

まずは、お互いの生活を理解することが必要です。

 

 

2.自分たちにあった二世帯住宅のタイプは?

二世帯同居のメリットを最大限に生かすには、住まい方を考え、

それにあった住まいをつくることで、デメリットを克服することです。

設計初期の段階で、「共有する部分」と「分離する部分」をしっかりと相互理解し、

そのルールをプランに反映させることが必要です。

 

4つの基本プラン

①共有タイプ

玄関はひとつ。キッチンやお風呂などは、世帯ごとに設けるか、共有するか、

共有の度合いや広さによって様々なパターンが考えられます。

間取りの工夫によって、それぞれ独立性を高めたり、共用ゾーンを多くとったりすることも可能です。

 

②上下分離・内階段タイプ

一階に玄関を二つ設け、上下階で住み分けるタイプです。独立した玄関と専用階段があり、

世帯ゾーンが上下に明確に分離され、独立性は共用タイプより高くなります。

内部にドアを設けることで、必要に応じて二つの世帯のコミュニケーションが図れます。

 

③上下分離・外階段タイプ

一階、二階にそれぞれ玄関を設け、世帯ゾーンを完全に上下に独立させたタイプ。

二階へは、外階段で上がります。内階段タイプより二世帯間の独立性は高くなっています。

内階段・外階段タイプ共、中庭や吹抜などで両世帯間の気配を伝え合うなどの工夫で二世帯住宅の良さを高めることも可能です。

 

④連棟分離タイプ

集合住宅のように壁を挟んで2軒の家が隣り合わせになったタイプです。

内壁で仕切られているので、生活音に気を使いません。

また、交流を高めたければ、間に扉を設けたり、中庭やベランダで行き来したりと、工夫次第です。

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2世帯住宅-2

2世帯住宅-2

3.ゾーニング計画・動線計画

二世帯住宅には、3つのゾーンが出来ます。「親世帯ゾーン」「子世帯ゾーン」「共有ゾーン」です。

これら3つのゾーンを明確にして、住む人の意識と動線を整理することが必要です。

ゾーンの明確化は、プライバシーの確保や交流の度合いに反映されますので、

お互いの意見を出し合って、確認しておく必要があります。

 

 

4.要望の洗い出し・調整

それぞれのゾーンに必要な部屋・空間や、設備、またそれぞれどの位の広さが欲しいのか、

まずは要望を出し切ることが必要です。

ちろん、面積や予算を考えると全部実現することは難しいのですが、

最初からあきらめてしまうと、後々後悔することになりかねません。

まずは家族全員の夢と希望を全部出し切った上で、優先順位をつけていくことです。

その際には、どうしても意見がぶつかりがちですが、設計者の第3者的な意見も参考になります。

それぞれの要望は、「間取り」「広さ」「設備」「仕上げ」「その他」に分類すると、

優先順位をつけやすくなります。「間取り」「広さ」については、家族の意見だけでなく、

全体の面積とのバランスや使い勝手など設計者のアドバイスが必要となります。

「設備」や「仕上げ」は、全体予算に大きく影響されます。

日々の使用頻度やメンテナンスなどを考慮し、柔軟に対応していくことが大切です。

 

 

5.設計者は調整役でもある

家族関係やライフスタイル、理想の家は自分たちが一番良く知っている。

その通りではありますが、家づくりの当事者ゆえに見えないこと・お互いに言い出しづらいことなども多いかと思います。

家づくりの参加人数が多いほど「誤解」や「遠慮」も多くなります。

私たち設計者は、単に「間取り」をつくるのではなく、そこでの快適な「暮らし」を提案していきます。

少しでも気になることがあれば、何でもお聞かせください。第3者的な視点に立ってアドバイスをしたいと思います。

 

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北側の部屋に光を取り込む

北側の部屋に光を取り込む

住宅密集地で、光を取り入れるのは大変なこと。
隣家が迫っていて、壁面のサッシ窓では
十分な光を確保することができないことが多いようです。
そこで、よくつかわれるのがトップライト(天窓)です。
屋根の上には建物はなく空だけがあります。
それを利用しているのがトップライトです。
とても当たり前の話ですが、少し詳しく話をします。トップライトは空に向かって開いているので、
日中のほとんどの時間帯で光の取入が可能です。
そして、取り入れている光は、
上からの光であり(天空光といいます)、
この取り入れる光の種類の違いが、
壁面のサッシとの一番の違いです。建築基準法では、部屋の広さによって、
採光の量が決められていまが、
トップライトの場合は、壁面のサッシの3倍として、
計算していいことになっています。トップライトのこの特徴によって、
曇りの日でも明るさを確保できます。
また、北側の部屋で明るさを確保すしたいときにも、
有効な手段の一つとして使われます。

北向きの傾斜屋根にトップライトを取り付けると、
直射日光ではないものの、、
天空光によって、1日中落ち着いた光が降り注ぐ空間となります。

写真は、施工中の住宅の写真です。
両方とも北側の傾斜天井に設けたトップライトです。
写真を見ても分かるように、しっかりと光を確保しています。

ふたつの場所はともに、子ども達の遊び場−プレイルーム−です。
トップライトから降り注ぐ、柔らかい光でつつまれます。

入口と出口の高低差が大きいほど、
空気は流れやすいので、
換気に関してもトップライトは有効です。

トップライトは天井近くにたまった熱気を抜くことができ、
夏にはさらに威力を発揮します。

北側の部屋だからと、あきらめないで、
トップライトをうまく使って、快適な室内環境をつくりましょう。

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子どもの育ちを見守る家1  赤羽の家

赤羽の家

 無垢のキッチンが真ん中、みんなが寄り添う家族時間。

東京・北区の住宅街に立つ親子3人の住宅です。共働きで忙しい毎日を送るご家族ですが、 家では家族の気配をいつでも感じていたい、そんな住まいにしたいとお施主さんと話しました。1階にパブリック、2階にプライベート、両者をつなぐ中2階に浴室とバステラスを設けています。1階の中心は厚さ4cmの無垢のカウンター。これを取り囲むようにキッチン・リビング、そして、書斎もかねる和室が位置します。キッチンの床を下げることで、キッチンのお母さんと和室のお父さん、そしてリビングで遊ぶ子どもの目線がそろいます。また、お施主さんの「なるべく国産材を使いたい」という言葉からは、子ども達の未来を見つめる確かな気持ちがうかがえました。

 

【データ】

家族構成:夫婦+子ども1人
述床面積:101.99m2
東京都北区

 

 

 

 

 

赤羽の家 赤羽の家

 

赤羽の家 赤羽の家

赤羽の家

 

 

大人家族の家1 多摩の賃貸併用住宅

多摩の家

 賃貸を併用した夫婦の時間を楽しむ住まい
多摩の家
東京都・多摩市の賃貸併用住宅 
家族構成:夫婦
述床面積:272m2
東京都多摩市
東京・多摩市のゆったりとした敷地に建つ賃貸併用の住宅です。
お施主さんはじっくりと自分の生活を見つめ、「こう暮らしたい」という明確なコンセプトを導き出しました。 まずは、庭や光・風などの自然と自分とが一体に感じられること。
次に、家の中心にコントロールセンターを持ち、そこを取り囲むようにそれぞれの空間がつながっていること。
その結果、スキップフロアによる高さの変化によって、緩やかに連続する空間が出来ました。
多摩の家 多摩の家
多摩の家 多摩の家
大人家族の家2  東十条の家

東十条の家

間口が小さくても大丈夫。設計の工夫で光・風・広がりをあきらめない。
東十条の家
東京都・北区の住宅密集地+狭小敷地に建つ店舗併用住宅
家族構成:夫婦+お母さま+ネコ2匹
述床面積:98.38m2
東京都北区
東京・北区の商店街に建つ、夫婦とお母様とネコ2匹の住宅です。
1階には小さいながらも糸屋を営んでいるお母様のために、お店として使える大きな玄関土間スペースを設けました。
お店から続く1階部分にお母様の部屋、洗面浴室、小さな調理スペースを作り、コンパクトながら使い勝手よく配しています。
2階には料理にこだわりのあるご主人のために、業務用の中華コンロを設置。料理を介してご家族やご親戚がつながり、同じ時間と食事を楽しみます。
3階には採光を取り入れるための吹き抜けを大きく設けています。
上下階の家族の気配を届けるとともに、2階で洗い干した洗濯物を3階へと届ける、電動バトンの通り道にもなっています。
東十条の家 東十条の家
東十条の家 東十条の家
大人家族の家3 山形 成沢の家

設計事例

二世帯のほどよい距離感がつくる、大人家族の大人時間。
 寄り添うような距離感を。2世帯・大人家族の家。これからセカンドライフを満喫するご夫婦とそのご両親との2世帯住宅です。これまでの心地よい関係性を、新しい住まいでも継承できるよう、2世帯のほどよい距離感を再現しました。ご両親世帯には、デイサービスなどの外部サポートが入ります。その動線となり、また近隣の方々との交流の場となって、暮らしに彩を与えてくれるよう、これまで大切に育ててきた庭を残しています。また、ご夫婦それぞれが趣味(読書・自転車・茶道)を楽しみ、深い造詣をお持ちです。新しい家では、その楽しみのための空間と設えを存分に作りこんでいます。。

 

 

家族構成:親世帯夫婦+子世帯夫婦+子ども1人
述床面積:144.95m2
山形県山形市

 

 

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山形・成沢の家
山形・成沢の家